2012年3月5日月曜日

ベトナムでの仕事内容

さて、そろそろ今回の仕事のことをちゃんと書いておきましょう。
バイタリフィアジアが入居するビル

今回のベトナム訪問の目的は、弊社のアプリ開発を委託しているバイタリフィ・アジアさんに伺って、直接ディレクションをすることです。
日本にいる時から、ChatWorkやRedmineを使って結構細かいところまでほぼリアルタイムで指示は出せていました。しかし、自信を持ってサービスを世の中に出すには、こちらの意図通り通りのものを納品してもらうために、同じ場所で同じ物を見ながら直接ディスカッションして細部を詰める必要があります。『神は細部に宿る』です。

バイタリフィさんとしても、先頃リリースされたスタートアップ向けオフショア開発サービスの条件として、発注者に一度は直接ベトナムに来てもらうことを求めています。
これは現地で直接指示を出すことでブリッジエンジニアの工数を減らしたり、通常受託側がアサインしなければならない日本人スタッフの人件費を削減したりする目的があります。しかしながらこれには単純なコスト削減だけではなく、日本人もベトナム人も同じ人間なので直接顔を合わせ握手した人とのほうが結果的に仕事を良い方向に導くことができるという効果があります。

私自身日本にいてネット越しでやりとりしている段階では、工数の見積もりなどにちょっと不満に感じるところもありましたが、こちらに来てみたら一つ一つの機能の実装は早いし、日本にいた時はほとんどもらわなかった逆提案も毎日のよう出てくるので、日々品質を上げていけているのを実感しています。
あと強いて言えば、ベトナムの現地スタッフは素直すぎて私の設計を文字通り忠実に再現しようとするので、ある意味融通が利きません(むしろ自分が作り易いように勝手に仕様変更されちゃうよりはよっぽどやり易い文化ではありますが…)。例えば、私の書いた画面遷移図であるパーツの色が一つだけ抜けていたりすると、わざわざそっくりそのまま作り込んできたりします(そっちのほうが面倒なのに)。そういったちょっとしたストレスも、対面でやりとりすることによって随分減っています。

よほどスキルの高いチームかカリスマリーダーでもいない限り、遠隔地同士ネット越しだけで満足できるものを作り上げるのは至難の業です。特にこれから事業を始めようというスタートアップであれば尚更コストのみで品質を担保することはかなり厳しいでしょう(企業での開発経験が無い方は特に)。
そこを直接開発現場に入るこの方式は、刻一刻と発生する諸問題に触れて品質アップに繋がる経験を積むことができ、かつ人間的なコミュニケーションも取れ、結果的に品質も(日本からメールで指示を出しているだけの場合よりも)上げることができる、一石二鳥のシステムだと思います(休みがあれば観光だってできちゃいます ^^)。

また、弊社は「ひとり会社」ということもあり、今後もバイタリフィさんとは継続的にお付き合いしていくことになると思います。そういう意味で、単なる「クライアント」と「委託先」の関係ではなく、「チーム」の一員として自分を受け入れてもらう為にも、今回のベトナム訪問は重要な意味を持ちます。

具体的なこちらでの仕事内容としては、ベトナムに来る前の時点でレビュー版に機能の実装をほぼ終えていましたので、日々更新されるレビュー版を使っての細部調整や、現場からの意見やアイデアの検討、意図通りに動かなかった機能の善後策、動作テスト、レビュー時に出たバグの対応等を主に行っています。

アグレッシブ過ぎて
ビルを貫通した木
バイタリフィ・アジアはブリッジエンジニアに日本語のできるベトナム人スタッフを充てています。というかブリッジエンジニアだけでなく、エンジニア百数十名のほとんどが日本語とその他にも英語や中国語も操れるというアグレッシブで優秀な人達です。
こういう優秀な若者達が日本人の何分の一という物価の下で働いている(誤解の無いよう書いておくと、ここのエンジニアはベトナム国内ではかなりの高待遇です)訳ですから、日本から仕事が出て行くのも仕方の無いことかもしれません。今後彼らがどんどん経験を積んでいけば、スキルやアイデア面でも日本が追い抜かれる日が来るかもしれません。そうならないためには、日本の若者達にももっと勉強してどんどん世界に出て行って、いろいろな物を見て考えて経験して、どん欲になんでも吸収して成長して欲しいと思います。そうしないと負けちゃうと切実に感じましたね、今回の出張で。もちろんおじさんの私も負けてはいられませんが。

閑話休題、ブリッジエンジニアと日本語でコミュニケーションできることで、機能的な部分はおそらく日本とベトナムで分かれたまま一度も顔を合わせること無く納品まで進めることも可能でしょう。しかし繰り返しになりますが、同じ場所で顔を合わせて作業することで、その品質は何倍にも高まります。
スタートアップであれば、金は無くとも溢れんばかりの情熱とアイデアと理想はある筈でしょう。その情熱でアイデアを直接ぶつけベトナムの若者達と切磋琢磨して、世の中に貢献できるような素晴らしいサービスを作っていく、それがスタートアップ向けオフショア開発サービスの本質だと思います。

ところで、バイタリフィ・アジアでは、近いうちにホーチミンオフィス内にコワーキングスペースを設置して、当面無料で解放するそうです。今後世界中の若者(じゃなくても)がこの場所に集まり、そしてここからアジアや世界各国へと旅立っていくことを想像すると、なんだかわくわくしてきます。

※自分なりに感じたスタートアップがオフショア開発をする際のtipsを、今後別エントリで書いて行く予定です。何かの参考になれば幸いです。

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